かき研究所が「公益目的支出計画」として実施する新規事業
「かきなど二枚貝の特性を生かした環境評価法に関する研究」を
ご紹介します。

 海洋環境の汚染や水産資源の減少等の問題が海に囲まれた我国の経済社会、国民生活の安定を脅かしています。沿岸環境の保全は、水棲生物ばかりでなく、周辺で生活する人間にとっても重要であることは云うまでもありません。沿岸環境への悪影響を未然に防止し、良好な環境維持、向上は不可欠であり、沿岸環境評価手法など様々な科学的知見の充実が求められています。
 沿岸環境の良否や変化を評価する指標としては、水質や底質などの物理化学的項目が主に用いられてきましたが、近年、環境評価に生物指標(バイオマーカー)を導入することは必須になってきております。
 二枚貝類がバイオマーカーとして最適だと考えられることから、本事業はマガキを対象動物とし、評価項目や評価基準を研究し環境評価法を確立しようとするものです。なお、本事業は、東北大学大学院農学研究科との共同研究として行われます。

平成22年11月11日から平成23年3月31日までの取組み
課題:マガキ外套腔液および外套膜外液を用いた生体防御能の評価
 二枚貝類の有する様々な因子・特性のうち、どれが評価項目として適切かを明らかにする必要があり、本研究では細菌感染などから自分の体を守るしくみ、すなわち生体防御機構が適切であると考えた。 特に本事業年度は、直接外界に接するため細菌に対する反応がよく起こっている2種類の体液、外套腔液および外套膜外液をマガキの生体防御能の評価指標として用いられるか検討した。 
 前年度の試験において、外套腔液および外套膜外液の両方で活性が認められた凝集素のレクチンについて条件を変えながら活性の変化を調べた。最初の試験として貝殻に小さな穴をあけ、そこから海洋細菌のVibrioを外套腔に注入し、一定時間経過後の外套腔液および外套膜外液のレクチン活性を測定した。その結果、注入後30分のレクチン活性は注入前のものより低下するが、2時間後にはほぼ最初のレベルにまで戻った。外套膜外液のレクチン活性はほとんど変化しなかった。次に、外套膜外腔にVibrioを注入して活性の変化を測定したところ、外套腔液、外套膜外液の両方で、時間経過とともに緩やかではあるがレクチン活性は高くなった。以上のことから、外套腔液および外套膜外液をマガキの生体防御能の評価指標として用いることができる。

 

 

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